医療事務

新型コロナのレセプト一部負担金額に0は必要?【結論:必要です】

新型コロナのレセプトで、公費の負担額欄に0の記載が必要と審査機関から指摘された。この指摘は正しいの?

 

こんなお悩みを解決する記事になってます。

 

新型コロナの患者さんのレセプトを提出したところ返戻されました。

 

理由は「一部負担金欄に0の記載がないから」。

 

記載要領を隅々まで確認したのですが、一部負担金額欄や負担金額欄の0記載ルールはどこにも書かれてませんでした。

 

この記事では、厚労省の事務連絡やレセプト記載要領等から導き出した根拠を元に、新型コロナのレセプトに患者負担額0の記載が必要かどうかを解説します。

結論:負担金額と一部負担金額に0は必要

 

結論:新型コロナのレセプトで、公費の負担金額欄または一部負担金額欄に0は必要です。

 

理由は、厚労省の事務連絡にはっきりと「0と記載しなさい」と明記されているからです。

 

<令和2年5月13日の保医発0513第2号より抜粋>

 

本請求(新型コロナのPCR検査代など)に係る「負担金額」又は「一部負担金額」の項には「0円」と記載すること。

 

このように書かれているので、0の記載は必要です。

 

審査機関も、この事務連絡を受けて「0の記載が必要」と指摘しています。

 

ただ、私はこの事務連絡や審査機関の指摘には疑問を感じました。

 

その理由を解説します。

紙レセプトの0記載

 

繰り返しになりますが、レセプト記載要領には負担金額欄と一部負担金額欄に関する0記載のルールはどこにも書かれてません。

 

つまり、正解が分からないです。

 

ですので、先ほど紹介した厚労省の事務連絡で「0を記載しなさい」とされているので、紙レセプトについては従うのが正解だと思います。

 

事務連絡の中には次の通り、丁寧に紙レセプトのイメージまで載っています。

 

ここまで細かく書かれていると、紙レセプトについては0の記載が必要と考えるしかありません。

 

0の記載がなかったことで返戻になるのも納得です。

 

ただ、電子レセプトについては話が別だと考えています。

 

私の場合、電子レセプトで指摘を受けました。

 

電子レセプトの0記録

 

社会保険診療報酬支払基金が公表している「電子レセプトの作成手引き」というものがあります。

 

これは、電子レセプト用の記載要領のようなものです。

 

この資料の中に、公費の負担金額欄または一部負担金額欄の0記録ルールが載っています。

 

<電子レセプトの作成手引き(令和2年7月版)の第4章 公費レコードの記録方法より抜粋>

 

電子レセプトには公費レコードというものがあり、このレコードに患者負担額を記録する箇所があります。

 

この患者負担額の記録ルールは次の通りです。

 

  • 一部負担金が発生する公費であって、一部負担金の記録が必要である場合に記録します。
  • 一部負担金が発生しない公費の場合、記録しません。

 

すこし分かりづらいので細かく解説します。

 

一部負担金が発生する公費

 

21自立支援や54難病医療の受給者証をお持ちの患者さんは、次のケースに該当しない限り医療費の支払いが必要です。

 

  • 生活保護世帯の方
  • 別の医療機関で月の限度額まで支払い済み

 

このように、一部負担金が発生するケースのある公費&一部負担金の記録が必要な場合は、患者さんから徴収した金額の記録が必要です。

 

患者さんから徴収しなかった場合は、手引きに記載されている通り0の記録が必要です。

 

10結核医療は一部負担金は発生するけど記録不要

 

10結核医療のように、一部負担金が発生する公費&一部負担金の記録が不要な場合は、患者さんから徴収した金額の記録が省略できます。

 

一部負担金が発生しない公費

 

18原爆医療や23母子医療の受給者証をお持ちの患者さんは、公費に係る医療費は無条件で無料になります。

 

生活保護世帯であろうと高所得者であろうと、公費による診療はタダです。

 

患者負担が発生することはありません。

 

新型コロナの公費(法別28)についても同様で、患者負担は発生しません。

 

手引きに従うと、「一部負担金が発生しない公費」なので「患者負担額は記録しない」が正しいです。

 

ところが、審査機関は手引きに記載されているルールを無視して「0を記録しなさい」と指摘してきました。

 

手引きのルールよりも、厚労省の事務連絡を優先しているようですね。

 

新型コロナの公費(法別28)

 

新型コロナの請求に関する法別番号は「28」とされ、受給者番号は「9999996」です。

 

受給者場番号は、東日本大震災などの災害被災者で、保険証の提示が難しい患者さんのレセプト請求と同じ取り扱いです。

 

<令和2年5月13日の保医発0513第2号より抜粋>

 

法別28の受給者証はクリニックでお目にかかることはほぼ無いと思います。

 

なぜなら「一類感染症等の患者の入院」の公費だからです。

 

エボラ出血熱やペストに感染した患者さんが使える公費ですね。

 

感染症の中でも特に危険なものが指定されていて、公費適用の観点においては新型コロナも同じ扱いです。

 

まとめ

 

クリニックで28公費の請求をするケースはほぼ無いので、レセプトの記載方法が分からず戸惑うことが多いのではないでしょうか。

 

返戻されたり審査機関から誤りを指摘されても、本来の正しい記載方法が分からないので、余計混乱しそうです。

 

この記事の総括になりますが、新型コロナの患者さんで28公費による請求をする場合、紙/電子問わず公費の患者負担額に0の記録が必要です。

 

ただ、私の見解は次の通りです。

  • 新型コロナのレセプトを紙で請求する場合は、患者負担0の記載が必要
  • 新型コロナのレセプトを電子ファイルで請求する場合は、患者負担の0記録は不要

 

審査機関は電子レセプトであっても厚労省の事務連絡通り患者負担0の記録が必要という見解です。

 

電子レセプトを手修正するのは不可能なので、審査機関から受けた指摘内容をメーカー側に伝えて、システム側で対処してもらうしかないと感じました。

 

レセプト記載要領は診療点数早見表が見やすいのでおススメです。

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