2020年12月15日から6歳未満の外来の医療費が上がります。
この記事では、今回の医療制度変更の経緯と変更内容を詳しく解説します。
医療費が上がるからといって、あまり悲観する必要はありません。
なぜなら、ほとんどの自治体がこども医療の公費制度を設けているからです。
6歳未満の医療費増は新型コロナの影響
まずは、なぜ6歳未満の外来の医療費が上がることになったのかの経緯から。
厚労省の中医協で議論された内容を簡単にまとめながら解説します。
- 抱っこ・オムツ交換・授乳などによる身体的な接触が濃厚。
- 手洗いや消毒、咳エチケットが身に付いてないこどもが多い。
- 新型コロナに感染していても自発的に症状を訴えることができない。(普通の風邪と区別しづらい。)
- 外来は感染リスクの高い患者と免疫機能が不十分なこどもが混在しやすい。
こういった観点から、外来で6歳未満のこどもを診察した場合、インセンティブとして医療費を上乗せ徴収していいですよ、というのが今回の施策。
まあ、ごもっともな理由ですよね。
因みに、クリニックでは診療科に関係なく上乗せです。
医療費が段階的に軽減
厚労省の事務連絡によると、当初は今回の医療費上乗せは期間限定でした。
<厚労省事務連絡 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)より抜粋>
本事務連絡による臨時的な取扱いは、当面、令和2年度中(令和3年2月診療分)までの措置とし、・・・
この事務連絡が出た直後は、医療費上乗せは2021年2月までとなってました。
「令和2年度中」といいながら「令和3年2月診療分まで」という中途半端な期限。
どうせなら令和3年3月診療分までのほうがスッキリするんですけどね。
令和3年度(令和3年3月診療分以降)の取り扱いについては、令和3年度予算編成過程において検討することとしている点に留意すること。
こんなただし書きもあるので要注意。
上乗せ徴収の期間を延長するかも、という含みも持たせてますね。
感染拡大が収まる様子がないので、期間延長が濃厚な気がします。
2020年12月18日の中医協で方針転換
2020年12月18日の中医協の資料に気になる内容が掲載されてます。
6歳未満に対する追加徴収は2021年3月末まで続き、その後は追加徴収額が約半分になるようです。
クリニック・薬局・歯医者で負担増
上乗せ対象の幅が広いです。
クリニックだけじゃなくて、薬局と歯医者さんでも上乗せとなります。
クリニック | 100点(約200円) |
薬局 | 12点(約20円) |
歯医者 | 55点(約110円) |
とにかく、入院以外ならどの医療機関でも医療費が増えると思った方がいいです。
電話の診察では医療費増にならない
電話で診察を受ける場合は、当然、感染リスクセロなので今回の上乗せ対象外です。
厚労省の事務連絡にもはっきりと書かれてます。
<厚労省事務連絡 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)より抜粋>
電話や情報通信機器を用いた診療又は服薬指導を実施した場合は、算定できない
これも当然のルールですよね。
上乗せ徴収には条件あり
上乗せ徴収するには条件があります。
<厚労省事務連絡 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)より抜粋>
要約すると、次の条件を全て満たしている必要があります。
- 患者1人1人手指消毒をする
- 家庭内や保育所などに感染兆候のある人がいたかどうか把握
- よく触るドアノブ・手すり・イス・スイッチ・タッチパネル・マウス・キーボードは定期的に70%~95%アルコールか0.05%次亜塩素酸ナトリウムで消毒(こどもがよく触る場所は重点的に)
この状況下でこういった対策をしてない医療機関なんてほどんどないと思います。
また、「アルコール度数が69%だったり、96%だったら条件から外れるから上乗せ徴収ダメなのか!?」
みたいなツッコミをしたくなりますが、こんな細かい事を誰かが逐一チェックしているわけじゃないので、結局全ての医療機関で上乗せ徴収することになると思います。
結論:あまり悲観する必要なし
ほぼ全ての自治体で乳幼児医療費助成制度、もしくは、こども医療費助成制度があるので、医療機関での窓口負担は軽減されているはずです。
自治体によって軽減内容は違いますが、窓口負担0円の助成内容なら心配する必要は全くありません。
「月〇〇〇円まで」とか「1回の受診で〇〇〇円まで」のような助成制度だと、今回の上乗せ徴収の影響を受けるかも。
今回の措置で、今まで以上に受診控えが増えないことを祈るばかりです。
今のところ2021年2月までの期間限定措置なので、2021年3月以降の動向に要注意。