2021年10月1日以降、新型コロナの特例措置に伴い、一部算定ルールが変わります。(一部は2021年9月28日から変更)
事前に告知されていた内容もありますが、ちょっと複雑なのでこの記事で細かく解説します。
この記事を読んで請求ミスを防ぎましょう。
目次
医科外来等感染症対策実施加算の廃止
次の記事で紹介した医科外来等感染症対策実施加算が、予定通り2021年9月30日で廃止になりました。
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新型コロナの影響で4月から医療費が上がる?【全患者が対象です】
2020年12月18日の中医協で気になる情報が出ました。 2021年4月から医療費を引き上げる方向で検討しているようです。 この記事ではその具体的な内容につい ...
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10月以降、患者さんに請求しないよう注意しましょう。
参考までに、廃止になった項目を載せておきます。
- 医科外来等感染症対策実施加算(初診料)
- 医科外来等感染症対策実施加算(再診料・外来診療料)
- 医科外来等感染症対策実施加算(医学管理等)
- 医科外来等感染症対策実施加算(在宅医療)
- 医科外来等感染症対策実施加算(精神科訪問看護・指導料)
- 医療観察入院感染症対策実施加算
- 医療観察通院等感染症対策実施加算
- 入院感染症対策実施加算(入院基本料)
- 入院感染症対策実施加算(特定入院料・その他)
- 入院感染症対策実施加算(短期滞在手術等基本料1)
- 医科外来等感染症対策実施加算(再診から直ちに入院した場合)
2022年4月からは外来感染対策向上加算?
中医協の個別改定項目で2022年診療報酬改定のおおまかな概要が明らかになりました。
その中で注目したいのが外来感染対策向上加算。
どうも、廃止となった医科外来等感染症対策実施加算の代わりになりそうなんです。
詳しくは次の記事をご覧ください。
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【2022年診療報酬改定】コロナ加算の代わり?感染対策向上加算
2022年の診療報酬改定のおおまかな概要が中医協の個別改定項目で明らかになりました。 次の記事で紹介した、2021年9月末で廃止となった医科外来等感染症対策実施加算(通称コ ...
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乳幼児感染予防策加算の点数変更
次の記事で紹介した乳幼児感染予防策加算の点数が、2021年10月1日以降下がります。(2021年7月7日中医協資料より抜粋)
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外来でこどもの医療費が上がります【乳幼児感染予防策加算】
2020年12月15日から6歳未満の外来の医療費が上がります。 この記事では、今回の医療制度変更の経緯と変更内容を詳しく解説します。 医療費が上がるからといっ ...
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実は、10月以降から50点に下がる旨告知されていたようです。
項目 | 変更前 | 変更後 |
乳幼児感染予防策加算(初診料・診療報酬上臨時的取扱) | 100点 | 50点 |
乳幼児感染予防策加算(再診料・外来診療料・診療報酬上臨時的取扱) | 100点 | 50点 |
乳幼児感染予防策加算(小児科外来診療料等・診療報酬上臨時的取扱) | 100点 | 50点 |
お子さんの医療費は各自治体の公費負担制度で軽減されるケースがほとんどなので、患者さんへの影響はほとんどないと思います。
変更前の点数のままレセプト請求すると査定・返戻の対象になる可能性があるので注意が必要です。
なお、この取扱いは2022年3月診療分までの取り扱いです。(新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その63)より】
二類感染症患者入院診療加算と院内トリアージ実施料
2021年9月28日の厚労省事務連絡の中で院内トリアージ実施料の点数が上がると読み取れる内容が載っていました。(「感染防止対策の支援」の周知についてより引用)
てっきり、「院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱)」の点数が上がるのかと思いきや、そうではありませでした。
「院内トリアージ実施料(診療報酬上臨時的取扱)」の300点と合わせて、二類感染症対患者入院診療加算の250点を同時に算定してもOKという意味だったようです。
こちらについては、先ほど紹介した新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その63)の別添の問1から読み取れて、2022年3月診療分までの取り扱いです。
救急医療管理加算の見直し(2021年9月28日~)
次の記事で紹介した救急医療管理加算が見直されました。
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【新型コロナの特例】救急医療管理加算が外来でも算定可能に
新型コロナの感染拡大を受けて、入院専用の加算項目「救急医療管理加算」が、条件を満たせば外来でも算定可能になりました。 この記事では、新型コロナ特例の救急医療管理加算について ...
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この変更は2021年10月1日からではなく、2021年9月28日からなので注意しましょう。
【2021年9月27日まで】
算定条件 | 算定する項目 |
新型コロナに感染した患者さんを往診で診察した場合 |
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新型コロナに感染した患者さんを特別往診で診察した場合 |
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新型コロナに感染した患者さんを訪問診療で診察した場合 |
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同じ家族で2人以上の自宅・宿泊療養している患者さんに対して診察した場合 |
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外来で新型コロナの患者さんに中和抗体を投与した場合 |
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【2021年9月28日以降】
算定条件 | 算定する項目 |
新型コロナに感染した患者さんで往診料、在宅患者訪問診療料を算定した場合 |
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新型コロナの患者さん宅で中和抗体を投与した場合 |
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外来(往診、訪問診療、電話・オンライン診療を除く)で新型コロナの患者さんを診察した場合 |
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外来で新型コロナの患者さんに中和抗体を投与した場合 |
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長時間訪問看護・指導加算の見直し(2021年9月28日~)
長時間訪問看護・指導加算も見直されました。
こちらも2021年10月1日からの変更ではなく、2021年9月28日からの変更なのでご注意を。
2021年9月27日まで | 2021年9月28日以降 | |
長時間訪問看護・指導加算(診療報酬上臨時的取扱) | 520点 | 1560点 |
長時間精神科訪問看護・指導加算(診療報酬上臨時的取扱) | 520点 | 1560点 |
なお、この変更は電子レセプト請求で注意が必要です。
単純に点数が変わっただけではなく、項目自体が廃止&新設となってます。
2021年9月27日まで | 2021年9月28日以降 | |
長時間訪問看護・指導加算(診療報酬上臨時的取扱) | マスターコード:114052950 | マスターコード:114054950 |
長時間精神科訪問看護・指導加算(診療報酬上臨時的取扱) | マスターコード:180064950 | マスターコード:180066050 |
項目名称は全く同じですが、電子レセプトに記録するマスターコードが変わってます。
レセコンや電子カルテで対応しているかどうか、メーカーに確認をお勧めします。
まとめ
この記事では次の内容を細かく解説しました。
医科外来等感染症対策実施加算は2021年9月30日で廃止
乳幼児感染予防策加算の点数が2021年10月1日から半減(100点⇒50点)
二類感染症患者入院診療加算と院内トリアージ実施料が同時算定可能に(2021年9月28日~)
救急医療管理加算の見直し(2021年9月28日~)
長時間訪問看護・指導加算の点数が3倍に(2021年9月28日~)
医科外来等感染症対策実施加算の廃止は、ほとんどの医療機関にとっては収入減になるので、かなり影響の大きな変更です。
ただ、新型コロナの感染拡大が続いてたら廃止になってなかったと思うので、ようやく終わりが見えてきたのかなぁという感じもします。
コロナ加算は廃止になりましたが、往診や訪問診療に対するインセンティブを手厚くしているので、まだまだ医療現場が厳しい状況であることは変わりないようです。
この記事が、医療事務従事者の手助けになれば幸いです。