2022年診療報酬改定でリフィル処方箋が解禁されます。
2022年1月26日の中医協で公表された個別改定項目でその概要が明らかになりました。
この記事では解禁されるリフィル処方箋について解説します。
リフィル処方箋とは
主に、患者さんの医療費負担の軽減を目的として、病状が安定している患者さんを対象に一定期間繰り返し利用することができる処方箋のことです。
欧米ではすでに導入されている制度ですが、ようやく日本でも2022年4月以降解禁されます。
薬だけほしくても医師の診察を受けて処方箋を発行してもらわないといけませんでしたが、2022年4月以降は、発行してもらった処方箋を繰り返し使うことができるようになります。
そのため、患者さんにとっては「処方箋を発行してもらうための診察」を受けなくて済むことになるので、医療費が減るという大きなメリットのある制度です。
逆に、医療機関にとっては診察する患者さんが減るので収入減となることは間違いないでしょう。
また、個別改定項目の留意事項の中で「薬剤師がちゃんと管理しなさい」といった内容が書かれているので、調剤薬局(薬剤師さん)には今まで以上に負担がかかりそうです。
リフィル処方箋の留意事項
個別改定項目の中で、リフィル処方の留意事項が書かれています。
その中から注目すべき点を解説します。
総使用回数の上限は3回
リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回までとなります。
リフィル処方できない薬がある
次の薬はリフィル処方できません。
- 投与量に限度が定められている薬
- 湿布薬
投与量に限度が定められている薬
具体的にはこちらのサイトが参考になります。
主に麻薬や向精神薬などに該当する薬ですね。
「薬を飲めばちゃんと眠れる」といった、比較的安定した不眠症の患者さんでロヒプノールなどを定期的に処方してもらっていたとしても、残念ながらリフィル処方の対象外なので負担減にはならないです。
湿布薬
2016年の改正で湿布薬は原則1処方につき70枚までという制限が設けられました。
必要以上に湿布薬を処方する医療機関が多かったことから、医療費削減の目的で始まったルールですね。
今回のリフィル処方についても、湿布薬は対象外となるのは理解できます。
2回目以降の調剤は投薬期間を経過する日の前後7日以内
1回目の調剤を行うことが可能な期間は今まで通り、処方箋が発行された日から3日以内です。
リフィルによる2回目以降の調剤可能な期間については、投薬期間を経過する日の前後7日以内という制限があります。
薬が切れる日の前後7日以内にリフィル処方箋を薬局にもっていかないとダメってことですね。
リフィル処方箋の様式
「リフィル処方箋の使用上限回数は3回まで」という制限がある以上、処方箋に何かしら記録を残さないといけません。
2022年4月から、このリフィル処方に対応した様式に変えないといけないようです。
赤枠で囲った部分が2022年の改正で追加となる欄。
色々な欄がB5サイズの中にびっしり詰まっていたのに、さらにリフィルの情報を書く欄を設けないといけないとなると、レイアウトの工夫が必要になりそうですね。
手書きしないといけない調剤薬局も欄が小さすぎて大変そう(笑)
二次元バーコード処方箋はどうなる?
ここでふと疑問に思ったのが、二次元バーコード処方箋はどうなるのか?という点。
二次元バーコードが印刷された処方箋を受け取った調剤薬局が、二次元バーコードに調剤日の情報を埋め込んで印刷しなおすなんて無理な話なので、二次元バーコード処方箋には「リフィル可」の情報しか入ってこないのでしょうか?
リフィル処方する薬としない薬が混在したら?
1回の処方でリフィル処方をする薬と、リフィル処方しない薬が混在する場合はどうすればいいの?
こんな疑問を持つ方は当然いますよね。
答えは厚労省の疑義解釈に載っています。
【疑義解釈資料の送付について(その1)から引用】
リフィル処方する薬と、リフィル処方しない薬で処方箋を分けて発行する必要があります。
投与期間やリフィル回数が違う薬が混在したら?
投与期間が違う薬、リフィル回数が違う薬が混在した場合はどうなるのでしょうか。
こちらについても答えは厚労省の疑義解釈に載っています。
【疑義解釈資料の送付について(その1)から引用】
このケースも処方箋を分ける必要があります。
まとめ
患者さんにとってはメリットしかないリフィル処方。
医療機関の収入減につながるし、調剤薬局側の負担も増えるので、医療機関泣かせの制度がまたスタートします。
処方箋の話なので院内調剤の医療機関は関係なさそうな制度ですが、個別改定項目からは読み取れないので、諮問答申や告示内容で明らかになることでしょう。
リフィル処方については2022年4月版の診療点数早見表に詳しく載っています。