
- 利益金額をいくらにすればいいのか分からない!
- どうやって利益金額を考えたらいいの?
こんなお悩みを解決する記事になっています。
この記事ではATRというテクニカル分析指標を活用して最適な利益金額を計算するための方法を解説しています。
記事の前半では最適な利益金額を各通貨ペアごとに紹介しています。
記事の後半ではATRという指標についてと、最適な利益金額の根拠について解説します。
この記事を読み終えることで、最適な利益金額の求め方が身につきますよ。
最適な利益金額
私は下記の金額を利益金額としています。(2022年1月9日更新)
通貨ペア | 利益金額(決済トレールなし) |
USD/JPY | 707円 |
EUR/JPY | 900円 |
EUR/USD | 7.72ドル |
EUR/GBP | 6.44ドル |
AUD/JPY | 752円 |
AUD/USD | 7.28ドル |
AUD/NZD | 6.47ドル |
NZD/JPY | 728円 |
NZD/USD | 7.33ドル |
CAD/JPY | 742円 |
利益金額を決めるうえで参考にしたATRという指標に関する説明と、上記の利益金額を最適と考えた根拠を解説します。
利益金額を決める参考にしたい指標:ATR
利益金額は、私がトラリピを始めるきっかけになった鈴さんのブログでも紹介されているATRという指標が目安になります。
ATR(Average・true・range)とは、平均的な1日の値動きを表した指標で、1日どれくらい変動したか?を表した指標です。
マネースクエアのHPに「ヒストリカルデータ」があるので、ここから日足のデータをDLして計算します。
このヒストリカルデータでは、一部の通貨ペアを除き2008年まで遡って始値・高値・安値・終値を日/週/月単位でCSV出力することができます。
ATRはTR(true range)を平均化した指標で、TRは以下3つの中で最も幅が大きい値(絶対値)となります。
TRの求め方
- 当日の高値-当日の安値
- 当日の高値-前日の終値
- 当日の安値-前日の終値
1~3の中で最も幅の大きい値(絶対値)がその日のTR
ATRを掲載しているブログは他にもありますが、EXCELの関数を使えば簡単に計算できるので、自分で計算できるようにしておくことをお勧めします。
最適な利益金額の根拠
USD/JPYを例に挙げると、最適な利益金額をATRが1を超えた年を除く年の平均としました。
理由は次の3点。
- 2009年以前のATRは高すぎる
- ATRは年々小さくなる傾向にある
- ATRは毎年バラツキがある
2009年以前のATRは高すぎ&ATRは年々低下傾向
USD/JPYを例に、2008年までさかのぼって各年のATRを計算した結果が次の通りです。
西暦 | ATR(USD/JPY) |
2008年 | 1.505 |
2009年 | 1.227 |
2010年 | 0.884 |
2011年 | 0.658 |
2012年 | 0.545 |
2013年 | 1.040 |
2014年 | 0.707 |
2015年 | 0.900 |
2016年 | 1.196 |
2017年 | 0.874 |
2018年 | 0.670 |
2019年 | 0.559 |
2020年 | 0.716 |
2021年 | 0.557 |
2009年まではATRが1を超えてますが、2010年以降はATRが1を下回る年がほとんどです。
ATRは年々小さくなる傾向にあることがこの表から読み取れます。
ATRは毎年バラツキがある
低下傾向にあるATRですが、バラツキがあることもわかります。
西暦 | ATR |
2008年 | 1.482 |
2009年 | 1.227 |
2010年 | 0.884 |
2011年 | 0.658 |
2012年 | 0.545 |
2013年 | 1.040 |
例えば、2008年~2013年だけ切り取って見てみると、ATRは年々低下してますが、2013年に急上昇しています。
西暦 | ATR |
2014年 | 0.707 |
2015年 | 0.900 |
2016年 | 1.196 |
2014年~2016年だけ切り取ってみると、逆にATRは毎年上昇しています。
このことから、直近1年間のATRだけ参考にしてはいけないと判断しました。
例えば、2013年の利益金額を2012年のATRを参考にして545円に設定していた場合、利益金額が低すぎるので利益を取りこぼしていたはずです。
2014年の利益金額を2013年のATRを参考にして1040円に設定していた場合、利益金額が高すぎるので決済チャンスを逃していたはずです。
以上を踏まえ、USD/JPYについては、ATRが1を超えた年を除いて平均化した値から利益金額を設定することにしています。
参考までに、他の通貨ペアのATRについてもさかのぼれる範囲までさかのぼって計算した結果を載せておきます。
USD/JPYと考え方は同じで、ATRの桁が大きかった年を除いた値を平均化して利益金額を設定しています。
西暦 | ATR(EUR/JPY) |
2008年 | 2.533 |
2009年 | 2.098 |
2010年 | 1.643 |
2011年 | 1.388 |
2012年 | 1.079 |
2013年 | 1.466 |
2014年 | 0.941 |
2015年 | 1.345 |
2016年 | 1.253 |
2017年 | 0.940 |
2018年 | 0.980 |
2019年 | 0.709 |
2020年 | 0.929 |
2021年 | 0.683 |
西暦 | ATR(EUR/USD) |
2008年 | 0.01981 |
2009年 | 0.01706 |
2010年 | 0.01528 |
2011年 | 0.01573 |
2012年 | 0.01056 |
2013年 | 0.00954 |
2014年 | 0.00741 |
2015年 | 0.01232 |
2016年 | 0.00909 |
2017年 | 0.00759 |
2018年 | 0.00829 |
2019年 | 0.00539 |
2020年 | 0.00842 |
2021年 | 0.00604 |
西暦 | ATR(EUR/GBP) |
2016年 | 0.00893 |
2017年 | 0.00680 |
2018年 | 0.00543 |
2019年 | 0.00624 |
2020年 | 0.00762 |
2021年 | 0.00433 |
西暦 | ATR(AUD/JPY) |
2008年 | 2.124 |
2009年 | 1.632 |
2010年 | 1.329 |
2011年 | 1.159 |
2012年 | 0.873 |
2013年 | 1.159 |
2014年 | 0.772 |
2015年 | 1.049 |
2016年 | 1.193 |
2017年 | 0.702 |
2018年 | 0.741 |
2019年 | 0.612 |
2020年 | 0.863 |
2021年 | 0.703 |
西暦 | ATR(AUD/USD) |
2008年 | 0.01659 |
2009年 | 0.01395 |
2010年 | 0.01201 |
2011年 | 0.01348 |
2012年 | 0.00871 |
2013年 | 0.00904 |
2014年 | 0.00724 |
2015年 | 0.00915 |
2016年 | 0.00831 |
2017年 | 0.00552 |
2018年 | 0.00589 |
2019年 | 0.00471 |
2020年 | 0.00783 |
2021年 | 0.00636 |
西暦 | ATR(AUD/NZD) |
2015年 | 0.00980 |
2016年 | 0.00859 |
2017年 | 0.00709 |
2018年 | 0.00625 |
2019年 | 0.00527 |
2020年 | 0.00625 |
2021年 | 0.00448 |
西暦 | ATR(NZD/JPY) |
2008年 | 1.689 |
2009年 | 1.380 |
2010年 | 1.094 |
2011年 | 0.935 |
2012年 | 0.729 |
2013年 | 1.076 |
2014年 | 0.737 |
2015年 | 1.022 |
2016年 | 1.057 |
2017年 | 0.646 |
2018年 | 0.682 |
2019年 | 0.606 |
2020年 | 0.798 |
2021年 | 0.687 |
西暦 | ATR(NZD/USD) |
2008年 | 0.01302 |
2009年 | 0.01221 |
2010年 | 0.00993 |
2011年 | 0.01099 |
2012年 | 0.00743 |
2013年 | 0.00867 |
2014年 | 0.00703 |
2015年 | 0.00936 |
2016年 | 0.00824 |
2017年 | 0.00607 |
2018年 | 0.00554 |
2019年 | 0.00494 |
2020年 | 0.00709 |
2021年 | 0.00637 |
西暦 | ATR(CAD/JPY) |
2008年 | 1.976 |
2009年 | 1.581 |
2010年 | 1.328 |
2011年 | 1.012 |
2012年 | 0.772 |
2013年 | 1.052 |
2014年 | 0.747 |
2015年 | 0.979 |
2016年 | 1.186 |
2017年 | 0.751 |
2018年 | 0.714 |
2019年 | 0.571 |
2020年 | 0.729 |
2021年 | 0.671 |
利益金額はいつでも変更できる
以前は注文を出した後に利益金額の変更はできませんでした。
今はサービスが改善されて、注文中でも利益金額がいつでも変更できるようになりました。
仮に、コロナショックのように為替が乱高下するフェーズに入ったら、次の対応をすれば利益を取りこぼすことはありません。
- 利益金額を一時的に高くする(乱高下が落ち着いたら利益金額を戻す)
- 一時的に決済トレールをONにする(乱高下が落ち着いたら決済トレールをOFFにする)
利益を取りこぼすリスク(利益金額が低すぎるリスク)は上記対応でカバーできるので、決済チャンスを逃すリスク(利益金額が高すぎるリスク)をカバーするために、ATRが高かった年を除外して平均化する手法にしました。
まとめ
未来の相場を予知することは不可能なので、過去の実績を参考にして利益金額を決める必要があります。
まとめ
- 利益金額は高すぎると決済されにくくなる。
- 利益金額は低すぎると利益を取りこぼす。
- ATRは利益金額を決めるうえで参考にできる指標。
- 直近1年間のATRを参考にして利益金額を決めるのはお勧めしない