医療事務

4月からの医療費増の全容判明【医科外来等感染症対策実施加算】

 

2021年4月から、新型コロナの影響でほぼ全ての患者さんの医療費が微増します。

 

次の記事で紹介した、全患者医療費増の全容が明らかになったのです。

 

新型コロナの影響で4月から医療費が上がる?【全患者が対象です】

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この記事は、4月から患者さんから徴収できるようになる医科外来等感染症対策加算について解説します。

 

なお、この加算は2021年9月30日まで算定可能です。

 

詳しくはこちらの解説記事をごらんください。

 

10月からの新型コロナ特例措置変更点まとめ【医科外来・救急医療管理など】

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医科外来等感染症対策実施加算とは

 

新型コロナの感染リスクが高い医療従事者に対するインセンティブです。

 

2021年4月から、次の診察料や管理料などを算定する場合に、医科外来等感染症対策実施加算として、さらに5点の加算が取れます。

  • 初診料
  • 再診料(電話再診等を除く)
  • 外来診療料
  • 小児科外来診療料
  • 外来リハビリテーション診療料
  • 外来放射線照射診療料
  • 地域包括診療料
  • 認知症地域包括診療料
  • 小児かかりつけ診療料
  • 救命救急管理料
  • 退院後訪問指導料
  • 在宅患者訪問診療料1、2
  • 在宅患者訪問看護・指導料
  • 同一建物居住者訪問看護・指導料
  • 在宅患者訪問点滴注射指導管理料
  • 在宅患者訪問リハビリテーション料指導管理料
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者訪問栄養食事指導料
  • 在宅患者緊急時等カンファレンス料
  • 精神科訪問看護・指導料

 

新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その35)で明らかになったこの制度。

 

算定ルールが曖昧な部分や納得がいかない点があるのでまとめてみました。

 

同一日2科目の初診料・再診料では算定できるのか?

 

乳幼児感染予防対策加算でも同じ疑問がありました。

 

診療点数早見表を見ると、同一日2科目の初診料や再診料に対して、年齢加算や時間加算などの各注の加算は一切算定できません。

 

そのため、乳幼児感染予防対策加算についても算定できない、と私は考えているのですが、はっきりとした答えがどこにも載っていないので曖昧のまま。

 

医科外来等感染症対策実施加算も同じ疑問が残ります。

 

月1回だけ算定可能な地域包括診療料などの場合はどうするのか?

 

地域包括診療料や認知症地域包括診療料は月1回算定できます。

 

2回目以降は、医科外来等感染症対策実施加算だけ算定できるのか?

 

それとも、医科外来等感染症対策実施加算も算定できないのか?

 

このあたりがはっきりしません。

 

乳幼児感染予防対策加算との関係

 

乳幼児感染予防対策加算と医科外来等感染症対策実施加算は同時に算定できます。

 

新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その35)の別添の問11に答えが乗ってます。

 

 

「1及び2」の1が乳幼児感染予防対策加算を、2が医科外来等感染症対策実施加算を指しています。

 

小児科にとってはありがたい制度かもしれません。

 

次の記事でも解説しましたが、小さなこどもを診察する方が感染リスクは高いので、無難なルールだなと思います。

 

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大抵、小さなお子さんの医療費は、地方自治体が実施しているこども医療の公費で賄われるので、こどもの医療費増はあまり気にする必要なし。

 

電話再診やオンライン診療との関係

 

新型コロナへの感染リスクの高い医療現場に対するインセンティブなので、対面診療じゃない場合は算定できません。

 

電話再診やオンライン診療では算定できないと、別添に明記されています。

 

 

これも当然のルールですね。

 

対面診療してないので、患者さんから新型コロナをうつされるリスクゼロです。

 

加算を取るのはどう考えてもおかしいです。

 

歯医者、薬局、入院でも負担増

 

歯医者でも5点、薬局では4点が加算されます。

 

クリニックや歯医者で治療を受けた後に、薬局で薬を処方してもらう場合は、今までより9点分患者さんの負担が増えます。

 

約10円~30円の負担増ですが、受診頻度が多いと馬鹿にならない額になります。

 

また、入院だと1日10点加算されます。

 

公費が適用されない患者さんにとっては、相当な負担増になりそうですね。

 

短期滞在手術基本料1は加算項目が別

 

入院料に対する加算として「入院感染症対策実施加算(入院基本料)」が診察されました。

 

この加算は入院基本料だけではなく、短期滞在手術基本料に対しても取れます。

 

短期滞在手術基本料のうち、短期滞在手術基本料1は日帰り手術なので外来でも算定する項目。

 

そのため、「入院感染症対策実施加算(入院基本料)」ではなく、「入院感染症対策実施加算(短期滞在手術基本料1)」を算定する必要があります。

 

間違えないように注意しましょう。

 

診療報酬情報提供サービスの2021年3月4日更新内容から、この取り扱いルールが読み取れます。

 

医療観察法は算定ルールが違う

 

2021年3月25日に厚生労働省社会・援護局から事務連絡が出ました。

 

この事務連絡によると、医療観察で外来の場合、4回の診療や算定につき20点の「医療観察通院等感染症対策実施加算」を算定することになるようです。

 

普通の精神科訪問看護・指導料に対する5点の医科外来等感染症対策実施加算とは算定ルールも算定項目も違うので注意しましょう。

 

まとめ

 

新型コロナの感染拡大や影響の長期化に伴い、頻繁に診療報酬の臨時措置が発表されています。

 

医療事務に従事する方々の業務に直結する内容が多いので、しっかりと制度変更内容を確認して、誤請求にならないように気を付けましょう。

 

この記事を読んで、感染予防対策加算に関する知識が深まれば幸いです。

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